本裁判が勝利へ導かれた要因として2つの鑑定書がありました。それは、自動車工学的鑑定
と法医学的鑑定です。
まず、法医学的鑑定でのキーワードとなった「生活反応」について説明したいと思います。
生活反応とは、簡単に言うと生存しているときで無ければ生じない人体の変化です。生活反応
の有無は、変死体の損傷が生前に発生したのか、死んでから発生したのかを判断する基準に
なります。つまり生活反応とは人が生存していたときの反応であり、死んでからでは発生しませ
ん。変死体の損傷に生活反応が有れば生前に受けた物で、無ければ死後受けた物です。この
キーワードが実際に本裁判でどの様に活用されたのかを、原告の被告鑑定人への意見書を
見ながら理解し、そして参考にしていただけたらと思います。
また自動車工学的鑑定においては、駒沢幹也さんがまさに職人芸ともいうべき緻密かつ合理
的な事故の解析によって素人でも十分納得できる鑑定をしていただきました。私どもの経験か
らいわせていただきますと、鑑定人の選定は全く学歴などは関係なくその人の人格そしてその
人が職人さんであるかにつきます。交通事故鑑定人とはどのような職種なのかを紹介した著
書が最近出版されましたので、以下に引用させていただきます。
交通事故鑑定人 − 鑑定歴五十年駒沢幹也の事件ファイル
柳原三佳 著 角川書店 600円